Environmental History

Archive for 12 月, 2010

【文献案内】斎藤修先生「森林の経済史」(戸石)

金曜日, 12 月 17th, 2010 Posted in 研究会等案内 | No Comments »

慶応大学三田キャンパスにて未来先導チェアシップ講座「歴史のなかの人口・経済・環境(野村證券チェアシップ講座)」が行われております(1月まで)。 10月21日、28日には斎藤修先生が「森林の経済史」というタイトルで講演を行われました。私は都合が悪く、出席できなかったものの、その後斎藤先生からその時の内容にあたる論文(英文)が一橋大学のレポジトリでダウンロードできる旨お伺いしましたので、ご案内させいただきます。 タイトル:“Forest history and the Great Divergence : China, Japan, and the West compared” 場所:http://hermes-ir.lib.hit-u.ac.jp/rs/handle/10086/18736 森林史に興味をお持ちの皆様、ぜひご覧ください。

訂正=ルーラルヒストリー2010

金曜日, 12 月 17th, 2010 Posted in 研究会等案内 | No Comments »

先日投稿したイギリスの「Rural History 2010」の記事ですが、一部、意味が不明なところがありましたので、訂正して再度お送りします。 もはや三ヶ月もまえのことですが、9月13日から16日までブライトンのサセックス大学で開催されたルーラル・ヒストリー2010に全日参加してきました(ヨーロッパ、アジア他世界各国から多くの研究者が参加していました)ので、環境史との関係から、いくつかレポートを── (1)ヨーロッパ・ルーラル・ヒストリー学会の創立が、9月15日の会議で決定しました。学会長は、Prof. Richard Hoyleです。支部があるのはヨーロッパのみになりますが、ヨーロッパ以外の地域からの参加・ヨーロッパ以外の地域を対象とした報告もウェルカムということです。みなさまもぜひ参加・発表してみてください。初回の開催は2から3年後になるとのことです。 (2)もっとも環境史に近いセッションとしては、Agricultural research, peasant farming and the Green Revolutionというものがありました。これは、マンチェスター大学のProf. Jonathan Harwoodがオーガナイザーをしたもので、グリーンレボリューションを歴史的に読み直そうとする試みでした。イギリスの植民地での育種、ソヴィエト・ロシアの育種学などなど、興味深い内容でした。Harwoodさんは日本の品種改良にも興味をもっておられたので、以前からメールでやりとりしていたのですが、品種改良は環境史のテーマとしても重要なものだと再認識しました。ほかにも、有機農業の歴史、水利、オランダの干拓と農民、イングランドとウェールズの景観政策、林業家のオーラルヒストリー、農業経営類型分布の視覚的分類、農民のイメージ論、農村のメディア論、「ファシズムと近代」再審(私はこのセッションに参加したのですが)など、農業史の対象や方法の多様化を感じることができました。従来型の文献史学も健在ですが、統計やグラフィックなど高度なコンピューター技術が使用されているものもあり、驚きました。また、経済学的分析のみならず、文化史的分析も多く、個人的にはたいへん参考になりました。

東文研セミナーのご案内「環境史と世界史の編纂――中国の実践と構想から」(報告者包茂紅先生)

木曜日, 12 月 9th, 2010 Posted in 研究会等案内 | No Comments »

流通経済大の原宗子先生から包茂紅先生の報告についてのご案内をいただいたので、転載させていただきます。 特に中国の研究動向に興味のある方は奮ってご参加くださいませ。 * 下記の通り東文研セミナーを開催いたしますので、ご案内申し上げます。尚、本セミナーは東文研と北京大学歴史系との学術交流の一環として行うものです。 タイトル:環境史と世界史の編纂――中国の実践と構想から 報告者:包 茂紅(北京大学歴史系副教授) 司会者:安冨 歩(東京大学東洋文化研究所教授) コメンテーター:羽田 正(東京大学東洋文化研究所長) 日時: 2010年12月15日(水)午後3時~5時 場所: 東洋文化研究所 第一会議室(3階304) 言語: 中国語(通訳あり)、英語 報告要旨:現在、国際史学界では世界史の再認識と再構築が進められているが、その方策の一つに環境史という視点がある。環境史研究を通じての世界史の再構築は、国際レベルでは、既に一定の成果が見られる。しかし中国では、新世界史体系に関する議論自体が始まったばかりであり、また環境史研究も依然として初歩的段階にある。中国では今、若い世代の世界史学者や環境史学者が中心となって、国際的学術交流を通じて、新世界史の創造という試みに取り組み始めている。本報告では、中国での環境史と世界史の編纂について、これまでの取り組みや今後の構想という視点から、(1)中国の世界史研究、(2)中国の環境史研究、(3)新たな世界史の構築に対する環境史の意義という三部構成で論ずる。

東アジア農業史学会参加の記(藤原辰史)

木曜日, 12 月 9th, 2010 Posted in 研究会等案内 | No Comments »

9月25日から26日にかけて、中国の広州にある華南農業大学で「東アジア農業史学会」が開催されました。二日間で70を超える発表があり、ひとりあたり10分の発表時間しかなく、質疑応答の時間も実質ゼロで、発表者には苛酷な条件でした。来年は、北海道網走にある東京農業大学で開催予定です。発表時間はもっと長くなるはずです。ご関心のある方はぜひ参加してみてください。 全体のテーマは、水稲、水利、水運。あらためて、中国農業史研究の層の厚さを体感することができました。この研究会のメンバーである原宗子先生のお知り合いにもたくさんお会いできました。河川の水位を計る石像、水車の研究、畑を田圃にかえる政策の歴史、広東地方の水利水運、などなど、テーマも多彩。日本では、松本武祝先生の「日本列島における水田開発の展開過程」、伊丹一浩先生の「19世紀南アルプ地方における灌漑組合」が環境史的テーマでした。 以上、簡単ではありますが、ご報告まででした。

イギリスのルーラルヒストリー学会参加の記(藤原辰史)

水曜日, 12 月 8th, 2010 Posted in 研究会等案内 | No Comments »

 もはや三ヶ月もまえのことですが、9月13日から16日までブライトンのサセックス大学で開催されたルーラル・ヒストリー2010に全日参加してきましたので、環境史との関係から、いくつかレポートを── (1)ヨーロッパ・ルーラル・ヒストリー学会がの創立が、15日の会議で決まりました。学会長はProf.Richard Hoyleです。アジア・アフリカは除外されていますが、参加はウェルカムということ。次回は2から3年後ということですので、みなさまもぜひ、参加・発表してみてください。 (2)もっとも環境史に近いセッションとしては、Agricultural research, peasant farming and the Green Revolutionというものがありました。これは、マンチェスター大学のProf. Jonathan Harwoodがオーガナイザーをしたもので、グリーンレボリューションを歴史的に読み直そうとする試みでした。イギリスの植民地での育種、ソヴィエト・ロシアの育種学などなど、興味深い内容でした。Harwoodさんは日本の品種改良にも興味をもっておられたので、以前からメールでやりとりしていたのですが、品種改良は環境史のテーマとしても重要なものだと再認識しました。ほかにも、有機農業の歴史、水利、オランダの干拓と農民、イングランドとウェールズの景観政策、林業家のオーラルヒストリー、農業経営類型分布の視覚的分類、農民のイメージ論、農村のメディア論、「ファシズムと近代」再審(私はこのセッションに参加したのですが)など、農業史の対象や方法の多様化を感じることができました。従来型の文献史学も健在ですが、統計やグラフィックなど高度なコンピューター技術が使用されているものもあり、驚きました。また、経済学的分析のみならず、文化史的分析も多く、個人的にはたいへん参考になりました。

環境史研究会第4回ワークショップ

金曜日, 12 月 3rd, 2010 Posted in 研究会等案内 | No Comments »

環境史研究会の世話役をされている東京大学の竹本太郎さんからの研究会案内です。 みなさまいかがお過ごしでしょうか。 本郷キャンパスはイチョウの黄葉がまぶしい季節です。第4回環境史研究会ワークショップのお知らせです。 今回は、「大戦間期イギリス帝国における保全思想」について水野祥子さんが、「絵図から見た近世白神山地の植生と林野利用」について脇野博さんが発表されます。 奮ってご参加ください。 【日 時】 2010年12月18日(土)14時から 【場 所】 東京大学農学部1号館 1F農経資料室 *前回(第3回ワークショップ)と場所が異なりますのでご注意ください。1号館正面玄関入ってすぐ右前方の部屋です。 【発表題目と概要】 「大戦間期イギリス帝国における保全思想」 水野 祥子(九州産業大学) 本報告の目的は、大戦間期イギリス帝国における環境危機論の分析から、科学者/官僚の間で均質な保全思想が形成されるプロセスを検証するとともに、 その特徴を明らかにすることである。かれらが環境危機のメルクマールとして最も重要視したのは、土壌浸食であった。本報告では、「サハラ砂漠の拡大」をめ ぐる論争などをとりあげ、1930年代までに林学、生態学、地理学など多分野にわたる科学者の間で、土壌浸食は人間の誤った活動によって引き起こされると いう認識が共有されるようになったことを示す。さらに、この保全思想のなかで自然と人間との関係がいかに構築され、植民地の原住民の活動がどのように位置 づけられたのかを問う。最後に、かれらが各地域の問題をグローバルな環境危機の一例とする言説をつくりだし、荒廃地域が拡大すれば世界の人口や文明を維持 するための資源・食糧の供給が限界に達するという危機論を唱えていたことを指摘する。 「絵図から見た近世白神山地の植生と林野利用」 脇野 博 (秋田工業高等専門学校) 世界自然遺産として著名な白神山地であるが、近世の白神山地についてはこれまでほとんど研究がなく、どのような状態であったかは不明である。そこ で、近世に作成された山絵図などを用いて、当時の白神山地の植生や林野利用について、その一端を明らかにしたい。なお、近世の白神山地は秋田藩領と弘前藩 領に属するが、本報告では秋田藩領の白神山地を主として取り上げ、以下の側面から検討したい。 ①「秋田藩の林政と林業」: 秋田藩の林政・林業の歴史を概観し、森林の状態や利用の特色を見る。 ②「絵図に描かれた白神山地」:秋田藩・弘前藩が作成した国絵図・山絵図などから、白神山地の植生、林野利用や生業のようすを探る。