環境史研究会 第9回ワークショップのご案内
金曜日, 6 月 22nd, 2012 Posted in 研究会等案内 | No Comments »竹本さんからの案内を転載します。(村山) 環境史研究会メンバー各位 竹本です。 季節外れの台風が続き、各地で被害が出ておりますが、みなさまお変わりないでしょうか。 第9回環境史研究会ワークショップのお知らせです。 今回は、沖縄漁民、捕鯨、満州の炭鉱がテーマです。 「台頭する「沖縄漁民」―「異人種」から郷土の誇りへ―」を山本ちひろさんが、 「近現代日本捕鯨業の組織構成について」を渡邊洋之さんが、 「Carbon Technocracy: Energy Resource Management in 1930s and 1940s Manchuria」をVictor Seowさんが発表されます。 奮って参加ください。 ワークショップの後には懇親会も予定しております。 あわせて参加いただければ幸いです。 【日 時】 2012年7月21日(土)13時~18時 *開始時間が以前より1時間早くなっています。お気をつけください。 【場 所】 東京大学農学部1号館 3F農経会議室 *前々回(第7回ワークショップ)と同じ場所です。 【発表題目と概要】 山本ちひろ(東京大学)「台頭する「沖縄漁民」―「異人種」から郷土の誇りへ―」 1930年代、「南洋」漁業の主要な担い手は「沖縄漁民」であった。南洋群島から東南アジアにまで広く進出していた彼らは、やがて戦時期に「南進の先駆」としての評価を得てゆく。しかし一方で「沖縄漁民」の内実に目を向ければ、それはほとんど交わることのないふたつの潮流によって構成されていた。すなわち、ひとつは東南アジア方面へ出漁していた糸満系追込網漁民であり、他方は南洋群島へ進出していたカツオ漁業者であった。戦時期に「南進の先駆」として注目を集めるのは厳密には前者であるが、彼らを締め出し、長らく関心の外に置いてきた沖縄社会にあっては、そのことに気づくまでに思いのほか時間を要することになる。本報告では、東南アジア方面に展開していた追込網漁民に対し、戦時期に国家によって付与された存在意義を検討し、またそれを写し取ろうとして再編された沖縄の自己像の変遷についてもあわせて考察する。 渡邊洋之(京都大学)「近現代日本捕鯨業の組織構成について」 海という環境から生き物を「資源」としてよりうまく得ていくために、人はその方法を改めてきた。近現代日本捕鯨業においてそれは、網捕り式捕鯨からノルウェー式捕鯨、母船式捕鯨へという、技術導入の過程であった。 この過程を考察するにあたっては、当時の日本捕鯨業に従事していた労働者の実際について、あきらかにする必要がある。本報告では、クジラを捕獲する活動と、クジラを解体処理する活動という、捕鯨にかかわる主要な二つの作業に注目して、これらの活動を行う組織の構成の変遷とともに、それらに従事する労働者の来歴について説明していく。 加えて、クジラという生き物や捕鯨業という産業そのもの、およびいわゆる捕鯨問題の経緯など、本報告の前提となるような事柄についても、簡単ではあるが解説していきたい。 Victor Seow(ハーバード大学)「Carbon Technocracy: Energy Resource Management in 1930s and 1940s Manchuria」 *発表は日本語で行います 以上、よろしくお願いします。
「生物学史夏の学校」のご案内(村山)
水曜日, 6 月 13th, 2012 Posted in 研究会等案内 | No Comments »生物学史分科会のMLからの案内です。 生物学史夏の学校「生物学史と現代の対話」 今年度の夏の学校は6月23-24日に総合研究大学院大学(神奈川県葉山町)で行われます。すでに参加は締め切っていますが、一部のみ出席も可能ですので、プログラムをお知らせします。とくに2日目午後の特別講演はご自由に参加下さい。 6月23日(13:30-18:00) 標葉隆馬(総研大)STSと生物学史 瀬戸口明久(大阪市大)野生とは何か 東城義則(総研大)動物と地域社会を結ぶ方法(仮)――八田三郎『奈良と鹿』を読む 岩崎秀雄(早大)生命美学プラットフォーム:metaphorest, synthetic aesthetics, biomedia art 高橋さきの 「生きもの」のテクノバイオポリティクス――「生きもの」と宣言するうえで必要なこと 6月24日(9:00-12:00) 藤本大士(東大)<研究動向>身体障害をめぐる医療の歴史研究 天野陽子(東京海洋大)20世紀初頭の生理学における「統合性」 Victoria Lee(Princeton University)東アジア技術史における生命科学史 特別講演(13:30-14:30) 米本昌平(総研大)政治の迂回路としてのバイオエシックス、 戦略としての優生学史研究――1980年代の研究状況 場所:総合研究大学院大学葉山キャンパスセミナー室101・102室 アクセス:http://www.soken.ac.jp/access/accessmap.html
日本人口学会企画セッションの報告(村山)
水曜日, 6 月 6th, 2012 Posted in 研究会等案内 | No Comments »環境史研究会のメンバーを中心に、2012年6月1日から3日にかけて開催された日本人口学会第64回大会において、下記のような企画セッションを開催しました。溝口常俊さんを研究代表者とする科研「洪水常襲地における21世紀型水環境社会の構築」(課題番号:21401002)に基づき、原宗子先生のご尽力で、復旦大学から歴史地理学の重鎮である葛剣雄先生を招待させて頂き、充実した研究会になりました。 2015年に中国済南で開催される国際歴史家大会の分科会である国際人口学会では、Demographic Changes and the Family in Disaster-prone Areasと題したセッションを企画しています。今回の日本人口学会での議論を踏まえてさらに新たな展開ができればと考えております。 日本人口学会企画セッション「災害常襲地の歴史人口と人口変化」 組織者:村山 聡(香川大学) 座長:鬼頭 宏(上智大学) 討論者:原宗子(流通経済大学):中国環境史の観点から 討論者:渡辺和之(立命館大学):文化人類学の観点から 1.東昇(京都府立大学)・村山聡(香川大学)「近世日本の災害と住民の意識」 2.葛剣雄(復旦大学)「中国史上の巨大災害が人口に及ぼした影響」 3.溝口常俊(名古屋大学環境学研究科)「バングラデシュの洪水と人口変化」 趣旨: 災害は人口現象にどのような影響を与えるのか。直接的に死傷者を生むことも当然あるが、災害の経験は残された人々にも強い影響を与えることが考えられる。 前近代社会においては、洪水のように常態化していた災害においては死傷者が出ることは希であるし、また、現代のバングラデシュのように雨期と乾期が繰り返され、やはり「洪水」が日常であるような場合にも、むしろ柔軟な住民の対応が目立つ。つまり、自然災害イコール死傷者という構図は必ずしも成り立たない。しかし他方で、疫病等の蔓延はやはり決定的な人口減少を生じさせるし、繰り返される自然災害ではなく、数百年に一度起こるような巨大災害においては、事情は異なる。 自然に起因する様々な災害は、災害の起こった時空間を越えて、人口現象に大きな影響を与えているのではないであろうか。 そこで、近世日本、中国史、そして、現代のバングラデシュを対象時空間として取り上げ、「災害常襲地」という歴史環境的前提を踏まえた場合に、歴史的にどのような人口現象が観察できるのか、また、どのような人口変化をその特徴として見出すことができるのか。これらの点に関して三つの報告を用意している。第一に、近世日本について、災害はどのように捉えられ、実際にどのような人口現象への影響が見られるのか、第二に、中国における巨大災害は人口現象にどのような影響を与えていたのか、そして最後にバングラデシュで常に観察される増水・洪水は、その地域にどのような人口変化を生み出していたのか。 これらの三つの報告を受けて、中国環境史の観点と文化人類学的な観点から、報告から得られた論点とエビデンスに関してのコメントを頂き、このテーマに関する有意義な討論の機会を見出したい。