Environmental History

第12回環境史研究会ワークショップは盛況に終了しました(村山)

3 月 10th, 2014 Posted in 研究会等案内

竹本さんからの案内を再録しておきます。

環境史研究会メンバー各位

竹本です。

あっという間に2月になってしまいました。今日の東京は、小雪混じりの天気です。みなさまいかがお過ごしでしょうか。

第12回環境史研究会ワークショップの報告概要が出揃いました。どの報告も興味深く、3月8日がいまから楽しみです。

ワークショップの後には懇親会も予定しております。あわせて参加いただければ幸いです。

【日 時】 2014年3月8日(土)13時~18時

【場 所】 東京大学農学部1号館 3F農経会議室

【発表題目と概要】

「会計簿が語るアルプス環境史―研究の展望」 渡邉裕一

会計簿は環境史研究の主要史料となり得るだろうか? 本報告では、報告者が博士論文の執筆過程で新たに発掘したアウクスブルク市立文書館所蔵の「森林書記の会計簿」(1563年~1607年)を取り上げ、この問いへの接近を試みる。博士論文では、この会計簿の分析を通じ、木材不足に直面した都市アウクスブルクの市参事会が、いかに16世紀後半の「エネルギー危機」を乗り切ろうとしたのかを明らかにした。しかし、森林書記会計簿の史料価値はそれに留まらない。報告者は今後さらに、アルプス山脈・レヒ川流域における地域社会と自然環境との複雑な相互関係を「危機の克服」という分析視角から多角的に考察していく予定だが、本報告では、そのための主要史料となる会計簿の潜在可能性について論じる。日本史やアジア史の専門家、また歴史学以外の研究者からも多くの御意見を頂戴したい。

「明治前期、中国山地農村における地主小作関係の再検討―広島県比婆郡奥門田村を事例に―」 平下義記

本報告の目的は、広島県比婆郡奥門田村(現庄原市高野町大字奥門田)を拠点とする在村地主栗本家の所蔵文書の分析を通じて、近代日本における地主小作関係の特質を、具体的ケーススタディーの中から再検討するところにある。この栗本家文書には、小作人別・耕地別の小作料納入状況を記録した「小作料領収帳」、耕地1枚ごとの収穫量を記録した「収穫見積帳」が、明治初年から20年代にかけて伝来している。また、村内の農家構成を復元できる「戸籍帳」や、各農家の土地所有のあり方の変化が判明する史料も存在する。これらの史料群を統合的に分析することにより、従来の研究では必ずしも明らかになってこなかった問題を浮き彫りにすることが可能となってこよう。本報告の具体的作業は、小作契約の継承者/非継承者を判定し、そこでの分岐と、その小作人の属性(経済状況、土地所有の有無)、小作料納入率との関係の分析を行うことである。それを踏まえ、上述の課題にアプローチしていきたい。

「近世における山村の食糧確保」 栗原健一

近世社会は、度々飢饉に見舞われ、食糧問題が大きな課題であった時代である。人々はさまざまな飢饉対策をとっていたが、本報告では、その中でも近世後期の備荒貯蓄について検討する。事例として、秋田藩の山村である出羽国秋田郡小猿部七日市村(現、秋田県北秋田市)を中心とした親郷・枝郷の村々を取り上げる。「郷備米」や「五升備米」という在村貯蓄(備荒貯蓄)の実態と歴史的変遷を追い、その関係性を明らかにした。具体的には、まず文政期の「郷備米」とそれをめぐる小百姓騒動を検討し、次に天保期からの「五升備米」の形成と貯蔵を分析し、続いて幕末期の「郷備米」の展開を追った。最後に、当該地域の備荒貯蓄の特徴を指摘した。

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