Environmental History

生物学史分科会からの案内を転送します(村山)

7 月 11th, 2013 Posted in 研究会等案内

生物学史分科会MLのみなさま、

お世話になっております。生物学史研究会係の藤本大士です。 すでに今年も半分が過ぎてしまいましたが、今年最初の生物学史研究会の 開催が決定いたしましたので、ご案内いたします。

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今回の生物学史研究会は「漁業からみる帝国日本の内と外」というテーマで、シェル・エリクソンさんに報告を、谷本雅之さんにコメントをおこなっていただきます。研究会・懇親会ともに会員・非会員にかかわらずどなたでも参加可能ですので、みなさまふるってご参加ください。なお、配付資料の準備のため、事前に申し込みフォーム(http://bit.ly/130HKsw)よりご登録いただければ幸いです。

【日時】8月10日(土) 午後3:00~6:00 場所:東京大学駒場キャンパス14号館3階308号室(※京王井の頭線「駒場東大前」駅下車、渋谷寄り改札を出て正面手前に構内案内板があります。) http://www.u-tokyo.ac.jp/campusmap/cam02_01_13_j.html *事前申し込み人数によっては会場が変更となる場合がございます。

【発表者・発表題目】 シェル・エリクソン(Ph.D. Candidate, Princeton University/神戸大学訪問研究員) 「海から海へ―日本帝国内外の貝類と真珠養殖の普及」

谷本雅之(東京大学大学院経済学研究科・教授)「エリクソン報告へのコメント」

【タイムスケジュール】 15:00-15:05 はじめに:発表者の紹介・研究会テーマ説明 15:05-15:50 発表:シェル・エリクソン 15:50-16:15 コメント:谷本雅之 16:15-16:35 休憩 16:35-16:45 ディスカッション1:エリクソンによるリプライ 16:45-17:45 ディスカッション2:フロアからのコメント・質疑応答 *研究会終了後、18:00から懇親会を行います。会費は3000円前後を予定しています。

【参加申込・問い合わせ】 生物学史研究会係 藤本大士(東京大学大学院 博士課程)E-mail: hiro.fujimoto.n@gmail.com 生物学史研究会参加申し込みフォーム: http://bit.ly/130HKsw *事前予約は不要ですが、配付資料準備のため、可能な方は申し込みフォームよりご登録いただくか、藤本までご連絡下さい。

シェル・エリクソン(Ph.D. Candidate, Princeton University/神戸大学訪問研究員) 「海から海へ―日本帝国内外の貝類と真珠養殖の普及」

【要旨】 貝の中に物質の塊を入れて真珠を形成させるという真珠養殖の方法は、日本の特許技術としてよく知られています。この技術を技術を聞いてすぐに連想されるのは真珠王とも呼ばれた御木本幸吉でしょう。20世紀初期から、彼のライバルは西日本各地にいましたし、「真珠の発明者は誰か」をめぐる論争もおこなわれていました。真珠養殖の方法に取り組んだ人たちの共通する目的は、真珠を稀に発見される物ではなく、予測通りに生産できる物にすることでした。このとき、真珠養殖に使われる貝の役割も変化することになります。すなわち、「採ってからすぐに開くもの」だった貝が、「採ってから計画的に活かせるもの」となったのです。本報告は、日本帝国内外の真珠養殖普及を、貝の役割に注目して検討します。同時に、真珠貝をめぐる調査・移植・保護の活動を、イギリス帝国やフランス帝国における「acclimatisation」の概念と比較しながら考察します。真珠養殖に適切な「母貝」がどこに分布されているのか、その貝類を実際にどうやって供給して保護するのか、そしてある地域に棲息する貝類を別の地域に移植できるのかということは、真珠養殖業者を常に悩ませていた課題でした。以上を通じて、真珠貝を中心に、貝を調査する大学の動物学者、貝を移植させるコレクターと水産試験所の技師、および貝を海中の被害から守ろうとする養殖家たちの間で形成された太平洋ネットワークを描き出したいと思います。

【参考文献】 1) Michael A. Osborne, “Acclimatizing the World: A History of the Paradigmatic Colonial Science,” Osiris series 2 v. 15 (2000): pp. 135-151. 2) Jim Endersby, Imperial Nature: Joseph Hooker and the Practices of Victorian Science (University of Chicago, 2008). 3) Robert Kohler, Landscapes and Labscapes: Exploring the Lab-Field Border in Biology (University of Chicago, 2002). 4) Daniel P. Todes, Pavlov’s Physiology Factory: Experiment, Interpretation, Enterprise (Johns Hopkins, 2002). 5) 丹下孚「真珠養殖業における技術発達の構造(上)」『漁業経済研究』8(4)、1960年。 6) 片岡千賀之『南洋の日本人漁業』同文官、1991年。 7) 久留太郎『真珠の発明者は誰か?――西川藤吉と東大フロジェクト』勁草書房、1987年。

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