Environmental History

2013年度最初の環境史研究会主催のワークショップ(第11回)は4月6日に開催を予定しています。

2 月 2nd, 2013 Posted in 研究会等案内 | No Comments »

第11回環境史研究会ワークショップは京都大学人文科学研究所での開催を予定しています。詳細はまたお知らせしますが、お花見の季節の京都です。京都での宿泊は難しいかもしれませんが、4月6日土曜日の午後に二つの報告そして懇親会を予定しております。(村山)

第10回環境史研究会ワークショップ(10/7)のお知らせ

9 月 14th, 2012 Posted in 研究会等案内 | No Comments »

竹本です。

9月も半ばというのに、いつまでも盛夏のような酷暑が続いていますが、みなさまいかがお過ごしでしょうか。第10回環境史研究会ワークショップのお知らせです(ついに10回!)。

今回は、動物がテーマです。

「象の涙―ダーウィン『人間と動物の感情表現』をめぐる考察」を伊東剛史さんが、「『野生動物』の思想史:日本における動物学・自然・社会」を瀬戸口明久さんが報告されます。奮って参加ください。

ワークショップの後には懇親会も予定しております。あわせて参加いただければ幸いです。

【日 時】 2012年10月7日(日)14時~18時

*開始時間が14時からになっています。お気をつけください。

【場 所】 東京大学農学部1号館 3F農経会議室(未定)

*前回(第9回ワークショップ)と同じ場所を予定しています。

【発表題目と概要】

「象の涙―ダーウィン『人間と動物の感情表現』をめぐる考察」    伊東剛史(金沢学院大学)

「動物の権利」論において、ダーウィンは人間と動物との間に本質的な差異が存在しないことを証明した最初の科学者であると位置づけられている。特に、それまで人間のみが持つとされていた「高度な知性」、「道徳的観念」、「感情表現」が、動物にも存在すると明らかにしたことの意義が強調されている。一方、ダーウィンが同時代の動物福祉運動に与えた影響については、ようやく本格的な研究が始まったばかりである。こうした状況をふまえたうえで、本報告では、ダーウィンが『人間と動物の感情表現』(1872年)執筆中に見せた、ゾウが涙を流すという現象への「執着」に着目し、emotion — science — sympathy という3つのキーワードを軸に、いくつか議論を組み立ててみたい。始めたばかりの研究だが、最終的には、イギリスの動物福祉思想の歴史的展開を俯瞰し、その中にダーウィンを再定位したいと考えている。

「『野生動物』の思想史:日本における動物学・自然・社会」     瀬戸口明久(大阪市立大学)

この報告では、「野生動物」という概念の展開を通して、近代日本における自然と社会の関係について考察する。日本において人間から切り離された存在としての「野生動物」に価値が見出されるようになったのは1930年代のことである。本報告ではまず1934年に設立された「日本野鳥の会」に注目し、後半では1950年代から70年代にかけて流行した「野猿公苑」を取り上げる。これら2つの事例から、動物学研究や都市におけるレジャーの流行、地域開発など、さまざまな要因がからみあって、「野生動物」の意味を形づくってきたことが明らかになる。最後に現在のトキやコウノトリの野生復帰において「野生」が持つ新たな意味についても言及したい。

以上、よろしくお願いします。

生物学史研究会からの案内を転送します(村山)

7 月 31st, 2012 Posted in 研究会等案内 | No Comments »

今回の生物学史研究会は、土屋敦さん、沢山美果子さんをお招きし、「いのちの歴史学に向けて――胎児・赤子・捨て子のいのちの近世と現代」というテーマで、それぞれ戦後の日本、近世の日本を事例にお話しいただきます。

研究会・懇親会ともに会員・非会員にかかわらずどなたでも参加可能ですので、みなさまふるってご参加ください。

※資料準備のため、コチラ(http://goo.gl/RlcLq)より事前に申し込みいただけますと幸いです。

【日時】8月4日(土) 午後3:00~6:00

【場所】東京大学駒場キャンパス14号館3階308号室

http://www.u-tokyo.ac.jp/campusmap/cam02_01_13_j.html

*事前申し込み人数によっては会場が変更となる場合がございます。

【発表者・発表題目】

土屋敦(東京大学 CBEL(生命・医療倫理教育研究センター)・特任助教)

「敗戦後の戦災浮浪児、孤児・捨児の社会問題の形成と現在社会への道程」

沢山美果子(岡山大学大学院社会文化科学研究科・客員研究員/国立民族学博物館特別客員教員(教授))

「乳からみた近世社会の胎児・赤子の「いのち」」

【タイムスケジュール】

15:00-15:05 はじめに:発表者の紹介・研究会テーマ説明

15:05-15:50 発表1:土屋敦

15:50-16:35 発表2:沢山美果子

16:35-16:55 休憩

16:55-17:15 ディスカッション1:発表者間でのコメント・リプライ

17:15-18:00 ディスカッション2:フロアからのコメント・質疑応答

*研究会終了後、18:30から懇親会を行います。会費は3000円前後を予定しています。

【参加申込・問い合わせ】

生物学史研究会係 藤本大士(東京大学大学院 修士課程)

E-mail: hiro.fujimoto.n@gmail.com

生物学史研究会参加申し込みフォーム:http://goo.gl/RlcLq

*事前予約は不要ですが、配付資料準備のため、可能な方は申し込みフォームよりご登録いただくか、藤本までご連絡下さい。

環境史研究会 第9回ワークショップのご案内

6 月 22nd, 2012 Posted in 研究会等案内 | No Comments »

竹本さんからの案内を転載します。(村山)

環境史研究会メンバー各位

竹本です。

季節外れの台風が続き、各地で被害が出ておりますが、みなさまお変わりないでしょうか。

第9回環境史研究会ワークショップのお知らせです。

今回は、沖縄漁民、捕鯨、満州の炭鉱がテーマです。

「台頭する「沖縄漁民」―「異人種」から郷土の誇りへ―」を山本ちひろさんが、

「近現代日本捕鯨業の組織構成について」を渡邊洋之さんが、

「Carbon Technocracy: Energy Resource Management in 1930s and 1940s Manchuria」をVictor Seowさんが発表されます。

奮って参加ください。

ワークショップの後には懇親会も予定しております。

あわせて参加いただければ幸いです。

【日 時】 2012年7月21日(土)13時~18時

*開始時間が以前より1時間早くなっています。お気をつけください。

【場 所】 東京大学農学部1号館 3F農経会議室

*前々回(第7回ワークショップ)と同じ場所です。

【発表題目と概要】

山本ちひろ(東京大学)「台頭する「沖縄漁民」―「異人種」から郷土の誇りへ―」

1930年代、「南洋」漁業の主要な担い手は「沖縄漁民」であった。南洋群島から東南アジアにまで広く進出していた彼らは、やがて戦時期に「南進の先駆」としての評価を得てゆく。しかし一方で「沖縄漁民」の内実に目を向ければ、それはほとんど交わることのないふたつの潮流によって構成されていた。すなわち、ひとつは東南アジア方面へ出漁していた糸満系追込網漁民であり、他方は南洋群島へ進出していたカツオ漁業者であった。戦時期に「南進の先駆」として注目を集めるのは厳密には前者であるが、彼らを締め出し、長らく関心の外に置いてきた沖縄社会にあっては、そのことに気づくまでに思いのほか時間を要することになる。本報告では、東南アジア方面に展開していた追込網漁民に対し、戦時期に国家によって付与された存在意義を検討し、またそれを写し取ろうとして再編された沖縄の自己像の変遷についてもあわせて考察する。

渡邊洋之(京都大学)「近現代日本捕鯨業の組織構成について」

海という環境から生き物を「資源」としてよりうまく得ていくために、人はその方法を改めてきた。近現代日本捕鯨業においてそれは、網捕り式捕鯨からノルウェー式捕鯨、母船式捕鯨へという、技術導入の過程であった。

この過程を考察するにあたっては、当時の日本捕鯨業に従事していた労働者の実際について、あきらかにする必要がある。本報告では、クジラを捕獲する活動と、クジラを解体処理する活動という、捕鯨にかかわる主要な二つの作業に注目して、これらの活動を行う組織の構成の変遷とともに、それらに従事する労働者の来歴について説明していく。

加えて、クジラという生き物や捕鯨業という産業そのもの、およびいわゆる捕鯨問題の経緯など、本報告の前提となるような事柄についても、簡単ではあるが解説していきたい。

Victor Seow(ハーバード大学)「Carbon Technocracy: Energy Resource Management in 1930s and 1940s Manchuria」

*発表は日本語で行います

以上、よろしくお願いします。

「生物学史夏の学校」のご案内(村山)

6 月 13th, 2012 Posted in 研究会等案内 | No Comments »

生物学史分科会のMLからの案内です。

生物学史夏の学校「生物学史と現代の対話」

今年度の夏の学校は6月23-24日に総合研究大学院大学(神奈川県葉山町)で行われます。すでに参加は締め切っていますが、一部のみ出席も可能ですので、プログラムをお知らせします。とくに2日目午後の特別講演はご自由に参加下さい。

6月23日(13:30-18:00)

標葉隆馬(総研大)STSと生物学史

瀬戸口明久(大阪市大)野生とは何か

東城義則(総研大)動物と地域社会を結ぶ方法(仮)――八田三郎『奈良と鹿』を読む

岩崎秀雄(早大)生命美学プラットフォーム:metaphorest, synthetic aesthetics, biomedia art

高橋さきの 「生きもの」のテクノバイオポリティクス――「生きもの」と宣言するうえで必要なこと

6月24日(9:00-12:00)

藤本大士(東大)<研究動向>身体障害をめぐる医療の歴史研究

天野陽子(東京海洋大)20世紀初頭の生理学における「統合性」

Victoria Lee(Princeton University)東アジア技術史における生命科学史

特別講演(13:30-14:30)

米本昌平(総研大)政治の迂回路としてのバイオエシックス、

戦略としての優生学史研究――1980年代の研究状況

場所:総合研究大学院大学葉山キャンパスセミナー室101・102室

アクセス:http://www.soken.ac.jp/access/accessmap.html

日本人口学会企画セッションの報告(村山)

6 月 6th, 2012 Posted in 研究会等案内 | No Comments »

環境史研究会のメンバーを中心に、2012年6月1日から3日にかけて開催された日本人口学会第64回大会において、下記のような企画セッションを開催しました。溝口常俊さんを研究代表者とする科研「洪水常襲地における21世紀型水環境社会の構築」(課題番号:21401002)に基づき、原宗子先生のご尽力で、復旦大学から歴史地理学の重鎮である葛剣雄先生を招待させて頂き、充実した研究会になりました。

2015年に中国済南で開催される国際歴史家大会の分科会である国際人口学会では、Demographic Changes and the Family in Disaster-prone Areasと題したセッションを企画しています。今回の日本人口学会での議論を踏まえてさらに新たな展開ができればと考えております。

日本人口学会企画セッション「災害常襲地の歴史人口と人口変化」

組織者:村山 聡(香川大学)

座長:鬼頭 宏(上智大学)

討論者:原宗子(流通経済大学):中国環境史の観点から

討論者:渡辺和之(立命館大学):文化人類学の観点から

1.東昇(京都府立大学)・村山聡(香川大学)「近世日本の災害と住民の意識」

2.葛剣雄(復旦大学)「中国史上の巨大災害が人口に及ぼした影響」

3.溝口常俊(名古屋大学環境学研究科)「バングラデシュの洪水と人口変化」

趣旨:

災害は人口現象にどのような影響を与えるのか。直接的に死傷者を生むことも当然あるが、災害の経験は残された人々にも強い影響を与えることが考えられる。

前近代社会においては、洪水のように常態化していた災害においては死傷者が出ることは希であるし、また、現代のバングラデシュのように雨期と乾期が繰り返され、やはり「洪水」が日常であるような場合にも、むしろ柔軟な住民の対応が目立つ。つまり、自然災害イコール死傷者という構図は必ずしも成り立たない。しかし他方で、疫病等の蔓延はやはり決定的な人口減少を生じさせるし、繰り返される自然災害ではなく、数百年に一度起こるような巨大災害においては、事情は異なる。

自然に起因する様々な災害は、災害の起こった時空間を越えて、人口現象に大きな影響を与えているのではないであろうか。

そこで、近世日本、中国史、そして、現代のバングラデシュを対象時空間として取り上げ、「災害常襲地」という歴史環境的前提を踏まえた場合に、歴史的にどのような人口現象が観察できるのか、また、どのような人口変化をその特徴として見出すことができるのか。これらの点に関して三つの報告を用意している。第一に、近世日本について、災害はどのように捉えられ、実際にどのような人口現象への影響が見られるのか、第二に、中国における巨大災害は人口現象にどのような影響を与えていたのか、そして最後にバングラデシュで常に観察される増水・洪水は、その地域にどのような人口変化を生み出していたのか。

これらの三つの報告を受けて、中国環境史の観点と文化人類学的な観点から、報告から得られた論点とエビデンスに関してのコメントを頂き、このテーマに関する有意義な討論の機会を見出したい。

環境史研究会第8回ワークショップ(=「環境史シンポジウム」のご報告)

3 月 30th, 2012 Posted in 研究会等案内 | No Comments »

環境史研究会のみなさまほか関係者各位

17日から18日にかけてエル・大阪(=大阪府立労働センター)で、環境史研究会・大阪市立大学経済学研究科重点研究「健康格差と都市の社会経済構造」主催、身体環境史研究会および医療・社会・環境研究会共済で開催された第8回環境史研究会(=環境史シンポジウム)は非常に充実した研究会でした。年4回の環境史研究会を一気に開催したような内容を含んでいたように思います。

ますます「つながり」の重要性を実感した研究会でした。今回の研究会のオーガナイズをして頂いた瀬戸口明久さんならびに藤原辰史さんのご尽力に改めて感謝致します。

研究会の発展においては、「つながり」が組み込む「ノード」(ヒト)の活躍がますます重要であることを実感しました。他方で、環境史研究においては、「ノード」であるヒトの能力や個性が非常に重要であると同時に、そのような「単一素子」の振る舞いとは異なる「集団現象」や「複合現象」が生じるメカニズムを解明することも大切であることを改めて考えさせられました。

また、原宗子先生が総括で話されていたように、歴史学研究との対話における環境史研究会の課題・方向性として示された、一国史観・発展段階論の克服、エスニシティの実質的対象化、自然科学的理解・思考の組み込みの三点の重要性を確認させて頂きました。

この環境史研究会シンポジウムの後、環境史研究会のメンバーが企画・参画している学会として、日本農業史学会大会シンポジウム「自然災害と地域社会―農業史研究の視点から」が3月28日に九州大学で、また、林業経済学会では、「近代林学の歴史と環境保全ー森林保続思想の世界史ー」と題して3月29日に宇都宮大学で開催されました。

また本年、6月2日から3日にかけて開催される日本人口学会の企画セッションでは、「災害常襲地の歴史人口と人口変化」と題したセッションを、6月3日の午後、東京大学駒場で開催します。さらに、7月7日は日本ドイツ学会主催の公開シンポジウム「脱原発ードイツの選択」を東京赤坂OAGハウスで開催します。こちらは一般公開ですのでどうぞ奮ってご参加ください。藤原さんと村山が司会をします。

さらに、東アジア環境史協会(AEAEH: http://www.aeaeh.org/)では、2013年10月24日から26日にかけて台北で開催される国際学会のペーパー募集が開始されています。この協会に未加入の方で加入をご希望の方は、英語で、Name、Field、Title、Institution、Emailを村山までご連絡ください。学会事務局に連絡し登録してもらいます。なお、会費等は徴収しておりません。台湾中央研究院の支援でホームページの管理などをしています。

長くなりましたが、来年2013年6月には、比較家族史学会主催で「環境と家族」と題した大会を香川大学で開催する予定です。比較家族史学会の学会員に加えて、環境史研究会のメンバーの参加が可能なように調整しています。自然災害、危機管理、ツーリズム、グローバリズム、イマジネーション、イデオロギー、イノベーション、伝統知、学校教育などのサブテーマを考案中というところです。

最後に、次回、環境史研究会第9回ワークショップは竹本さんからご連絡があると思いますが、7月21日にこれまでのように東京大学本郷での開催が計画されています。

2012年3月30日村山記

環境史研究会および大阪市立大学経済学研究科重点研究「健康格差と都市の社会経済構造」主催 環境史シンポジウムのご案内

2 月 11th, 2012 Posted in 研究会等案内 | No Comments »

環境史研究会は、今回、初めて東京を離れ、大阪で研究会を開催します。環境史研究会と大阪市立大学経済学研究科重点研究「健康格差と都市の社会経済構造」との共同主催で、さらに、身体環境史研究会、医療・社会・環境研究会の共催により二日間にわたって開催する少し規模の大きな環境史シンポジウムです。どうぞ奮ってご参加ください。なお、詳細につきましては、また、参加の方法などにつきましては、藤原または村山にご連絡ください。

環境史シンポジウム:災害・周縁・環境

日時:2012年3月17日・18日

場所:エル・大阪(501・504号室)(大阪府立労働センター)

主催:環境史研究会、大阪市立大学経済学研究科重点研究「健康格差と都市の社会経済構造」

共催:身体環境史研究会、医療・社会・環境研究会

近年、環境と人間のかかわりをめぐる歴史研究が盛んになりつつあります。本シンポジウムでは、森林史・農業史・科学史・日本史・中国史など多様な分野で活発に研究をすすめている方々に報告していただき、「環境史」の現在とこれからを考えていきたいと思います。

3月17日(土)(会場:501号室)

■基調講演(13:00-15:00)

山本太郎(長崎大学) 感染症との共生・・・生態学的、進化学的視点から

コメント:藤原辰史(東京大学)・瀬戸口明久(大阪市立大学)・脇村孝平(大阪市立大学)

■周縁の環境史(15:20-18:00)

池田佳代(広島大学)アメリカ領グアム島 の水資源問題

中山大将(京都大学)植民地樺太の農林資源開発と樺太の農学――樺太庁中央試験所の技術と思想

香西豊子 「島」と疱瘡――伊豆諸島、とりわけ八丈島を事例として

コメント:山本太郎(長崎大学)・飯島渉(青山学院大学)

3月18日(日)(会場:504号室)

■日本の環境史(10:00-12:00)

戸石七生(東京大学)前近代南関東山村における飢饉と地域社会――天保飢饉と上名栗村古組

瀬戸口明久(大阪市立大学)都市と自然――1930年代日本における自然保護運動と社会階層

竹本太郎(東京大学)朝鮮総督府山林課長・齋藤音作の緑化思想

■グローバル環境史(13:10-15:00)

藤原辰史(東京大学)エコロジカル・インペリアリズム――帝国日本における水稲の品種改良

村松弘一(学習院大学) 近代中国における西北開発と環境への認識

全体へのコメント:原宗子(流通経済大学)・村山聡(香川大学)

会場へのアクセス:京阪・地下鉄天満橋駅から300m(http://www.l-osaka.or.jp/pages/access.html)

環境史研究会 第7回ワークショップのご案内

11 月 17th, 2011 Posted in 研究会等案内 | No Comments »

みなさま

環境史研究会の案内です。竹本さんからの案内を掲載します。

環境史研究会メンバー各位

竹本です。

すっかり涼しくなって、東大本郷のイチョウも色づき始めました。みなさまいかがお過ごしでしょうか。

第7回環境史研究会ワークショップのお知らせです。今回は、主に森林をテーマに3人の方に報告をお願いします。

「日本前近代の森林資源開発と日本人の自然観」について脇野博さんが、「巨樹・巨木からみた薪炭業の生物多様性へのインパクト」について谷口忠義さんが、「ドイツ各邦の森林法と1942年の帝国森林法案」について石井寛さんが発表されます。奮ってご参加ください。ワークショップの後には忘年会(懇親会)も予定しております。あわせて参加いただければ幸いです。

【日 時】 2011年12月17日(土)13時〜18時

*開始時間がいつもより1時間早くなっています。お気をつけください。

【場 所】 東京大学農学部1号館 3F農経会議室

*前回(第6回ワークショップ)と同じ場所です。

【発表題目と概要】

脇野 博(秋田工業高等専門学校人文科学系)「日本前近代の森林資源開発と日本人の自然観」

中谷巌氏は、脱原発は「自然は征服すべきものというベーコンやデカルトに始まる西洋近代思想を乗り越え、『自然を慈しみ、畏れ、生きとし生けるものと謙虚に向き合う』という、日本人が古来持っていた素晴らしい自然観を世界に発信する絶好の機会になるのではないだろうか。」(2011年6月14日 産経新聞「正論」) と述べられたが、はたして日本人は古来から本当に中谷氏が言うように自然と接してきたのであろうか。笠谷和比古氏は、上記のような自然を大切にするという日本人の自然観に対してすでに疑義を呈しておられ、私もこれまで日本の林政・林業史研究に取り組むなかで、疑問を持つようになった。そこで、日本近世の林政・林業に関わるいくつかの事例を通じて、前近代日本人の自然観の再検討に向けて問題提起をしたい。

谷口忠義(新潟青陵大学短期大学部)「巨樹・巨木からみた薪炭業の生物多様性へのインパクト」

日本には数百年あるいは千年以上の時を落雷や病虫害・獣害を乗り越え,同時に人間による伐採を免れてきた歴史的な遺産である巨樹・巨木が存在する。現在68,000本ほど存在するそれらの巨樹・巨木のうち薪炭適合樹種は約1割強である。なぜそれらは伐採を免れてきたのか。経済的なインセンティブからその理由を考えてみた。薪炭用の樹種は,木材固有の性質や運送上の技術,輸送コストといった要因と,需要の有無と規模により,そのまま放置され巨木に向かうか,薪炭として利用されるかが分かれた。炭生産では大木よりも炭木をそのまま焼くことを経済的に選好しており,百年以上の大木は後回しにし,同じ樹種であれば細い木から伐採することになる。そうした選好が生まれる理由は,大木から焼いた炭は爆跳するなど家庭での使用時に不都合な炭だからである。また,生産サイド(費用)面からいえば,窯詰用の伐採に手間が余計にかかるからであった。薪生産では木炭とは逆となっていた。

石井 寛(元北海道大学)「ドイツ各邦の森林法と1942年の帝国森林法案」

森林の維持と保全,森林の持続的管理を課題とする森林政策は森林法を根拠法としている。各国の森林政策の歴史と展開過程を見る場合,どのような森林法が制定されているのか,その特徴がどのようなものかを把握することは必須の作業である。私は今回の報告でドイツの森林法を取り上げたい。ドイツの近代の森林法はフランス革命の影響を受けて,1811年にヘッセン,1833年にバーデン,1852年にバイエルン,1875年と1879年にヴェルテンベルクで制定されている。その内容は州有林と公有林の森林官による国家管理,私有林に対する営林監督であった。帝国レベルの森林法を制定しようとする試みは1919年以降,あったもののプロイセンやバイエルンの反対で具体化されなかった。その試みが具体化したのはナチス期であった。林政学者のEbertsやAbetzの努力によって1942年に帝国森林法案が作成されている。同法案は議決されなかったが,その林政思想は第2次大戦後の1950年のラインラント・ファルツ州や1954年のヘッセン州の森林法に影響を与えるとともに,1975年に制定された連邦森林法にも引き継がれている。本報告では19世紀の各邦の森林法について説明するとともに,1942年帝国森林法案の内容を明らかにして,戦後への影響について説明したい。

第1回東アジア環境史学会閉幕(村山記)

10 月 27th, 2011 Posted in AEAEH-J事務局 | No Comments »

2009年の8月4日から8日にかけて、第1回国際環境史学会がコペンハーゲンならびにマルモで開催された後、台湾中央研究院の当時副研究院長をされていたTs’ui-jung Liu(劉翠溶)氏の発案で、私も含めて当時の参加者有志で発足させたのが、東アジア環境史協会であった。この協会の設立と共に、日本では環境史研究会もやはり有志と共に発足させ、このホームページでもその研究会の案内をしている。

東アジア環境史協会は、その発足から2年という短い歳月で、第1回の国際学会を、10月24日から26日の3日間をかけて、台北にある中央研究院の大会議場等において、学会員の総参加者数87名そして非学会員も含めると146名の参加で開催した。学会員は、中国からは18名、香港から2名、日本から19名、フィリピンから1名、オーストラリア等から2名、ヨーロッパから4名、北アメリカから6名、そして、開催地の台湾からは35名であった。

現在東アジア環境史協会は225名の会員から成り立っているが、会員数の多い順に並べると、中国68名、台湾58名、日本55名、北アメリカ38名、ヨーロッパ14名、オーストラリア等8名、韓国5名、フィリピン3名となっている。韓国からの出席者は、第1回国際環境史学会においてもなく、その影響が出ている。今後、ネットワークが拡大されることが望まれる。

この日本の55名の内、41名が環境史研究会のメンバーである。その内の14名がこの学会に参加し、報告や司会などを行った。26日に開催された学会総会において、学会規約も決まり、初代会長に劉翠溶氏が選出され、本格的な学会始動となった。次回は2年後に再び台湾で開催されることになり、その後、開催可能な国を回ることになる。4年後は中国、そしておそらく6年後は日本での開催となるであろう。

ところで、東アジアという地域の限定でどのような環境史研究が進展するか興味が持たれたところであるが、独自の多民族、多文化、そして戦争等による独自の国際関係を有する地域での個性も十分に認識される学会となり、いずれ、学会独自のジャーナルの発行も予定されている。

ヨーロッパならびにアメリカを拠点として進展が見られた環境史研究に、新たな制度的な基盤が確立されたのである。この場を借りて、劉氏の多大な貢献に改めて感謝の意を表したい。なお、蛇足ではあるが、新たな規約の成立と共に地区代表を決めることになり、今回の日本側からの学会参加者の推挙により、不肖ながら村山が日本代表を務めることになった。あまりに広大な環境史研究の知識の領野に圧倒されるばかりであるが、各専門分野からの集学がより容易になるように可能な限り努力をしたいと考えている。

2011年10月27日